初めて管理薬剤師に選ばれた君が知っておくべき考え方9選
はじめに
こんにちは。たいきちです。
この記事は、次のような方が薬局の管理薬剤師として順調なスタートを切るために必要な有益情報です。
- 初めて薬局の管理薬剤師になった人
- これからなりたいと思っている人
- やっているが上手くいっていないと思っている人
たいきち自身の経験をもとに、心を込めて書きました。
ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事の信頼性
たいきちは、薬局で管理薬剤師として勤務していました。
2年以上、以下のことについて試行錯誤して、成果が出たことをこの記事に記しました。
- 20代の自分が、年上の薬剤師たちをどうやってまとめたらよいか
- どんな知識やスキルを身につければよいか
- どんな気持ちで自分自身のモチベーションを高めたらよいか
この記事を読むとどうなるか
- 管理薬剤師として努力の方向性がわかるようになる。
- 同僚とどのように関わっていけばよいかがわかるようになる。
- どのような心構えでいればよいかがわかるようになる。
管理薬剤師としてのはじまり たいきちの場合、どんなスタートだったか?
新卒で調剤併設型ドラッグストアに入社してから2年後の6月。
ある日突然上司から異動を告げられた。
「来月から〇〇店の管理薬剤師だ」
これまでの努力を認められたという嬉しさの反面、不安な気持ちが押し寄せてきた。
- 新しい仲間と上手くやっていけるだろうか。しかも上司として。
- どうやって皆を引っ張ってゆけばよいか。
- そのために何を学べばよいか。
このような疑問を解決できぬままたいきちの管理薬剤師としての生活がスタートした。
目次:9つの課題と解決策
たいきちが管理薬剤師生活の中で感じた課題と、それをどうやって解決したかをここにまとめる。
たいきち渾身の試行錯誤の成果である。心して読むが良い。
9つの課題
- 新しい仲間が自分を受け入れてくれるか不安。
- 自分と他の仲間たちが全く違う考え方をしている気がする。ギャップを感じる。
- 何が正しいのか判断に迷う。たくさんの違う意見が耳に入ってくる。
- 周りの皆が自分に付いてきてくれない感じがする。
- 頑張っているのに周りが認めてくれない気がする。
- 仲間が自分の意図した考えとは違う行動をとってしまう。
- 指示を出してもなぜかフリーズされてしまう。
- 周りが自分を信じてくれてない感じがする。
- 信頼を得るにはどうすればよいかわからない。
9つの解決策
- 新しい仲間との出会いを恐れる必要はない
- 「立場がかわると物の見え方がかわる」ということを理解せよ
- 周りに流されないこと
- 店舗の中で一番苦労し努力する人にならなければならない
- 努力してますアピールは重要
- 方針・基準・価値観などは自信をもって言葉ではっきり言い放つ
- 指示は明確にせよ
- 頼もしさを演出せよ
- 責任を取り続けることが信頼につながることを理解せよ
9つの解決策を解説
たいきちが管理薬剤師の経験を通して得た、上記の課題に対する解決策をここに述べる。
① 新しい仲間との出会いを恐れる必要はない
新しい店に異動するのはとても緊張するものだ。
しかも管理薬剤師として、全員のまとめ役となり、もともとそこで勤務する薬剤師たちの上に立つのだ。不安である。
たいきちが管理薬剤師として赴任した職場も、事務も薬剤師も全員が自分より年上で、経験年数も長い人ばかりだった。
- 下手なことを言って嫌われたらどうしよう。
- もし自分だけ仲間外れになったとしたらどうしよう?
- 周りがついてきてくれるだろうか?
不安が尽きることはなかった。君はどうだろうか?
同じような不安を持っているのではないだろうか?
だが安心せよ。君が加わる人々は全員いい人たちである。例外はない。
「価値観」や「ものの考え方」が自分とは異なるだけ。悪い人ではない。
逆に言うと、今まで自分が知らなかったものの考え方、価値観を持っている人たちに会うことができるということだ。彼らとの出会いは、君の見識・世界を拡げ、君自身の栄養となるだろう。
会うのが怖いと思うのは、彼ら彼女らを知らないから。ただそれだけである。
だからこそ、異動したその日から彼ら彼女らを知る努力をしてゆこう。これから君が支えてゆく、時には支えてもらう大切な仲間たちなのだ。彼ら彼女らを知らずして、彼ら彼女らの上に立つことはできない。
また、人との出会い、人を知ることこそがこの仕事の醍醐味である。数年後、彼ら彼女らと出会えて良かったと心から思えることだろう。恐れる必要はない。
例えばたいきちの異動先にいた薬剤師にはこんな人がいた。
- 自分の間違った判断をゴリ押ししてくる年配薬剤師
- いつも定時定刻に休憩・帰宅したがる男性パート薬剤師
はじめは意味がわからなかったが、よくよく知り合ってみると、
- 10年間最年長で人から教わる機会がなかった。全て自己流でやるしかなかった。
- シングルファザーのため、子どものお迎えと夕飯の支度に追われていた。
このような背景のある人だった。
マニュアルをかみ砕いて教えたり、時間配分を工夫してあげることで喜ばれた。
②「立場がかわると物の見え方がかわる」ということを理解せよ
管理薬剤師になると、同じ薬局で働いているにもかかわらず、ものの見え方や感じ方が他の仲間とは異なってくるだろう。
同じ空間なのにまるで違う世界を生きているように感じるのだ。
薬剤師としての自分の考えや判断基準が、周りの仲間たちとは全く違うのだ。
例えばパート薬剤師がクレームを受けた時に、言葉遣い、話し方、態度など反省すべき点を見つけたとする。しかしクレームをおこした当の本人は、あの患者の性格が悪すぎるよね、と人のせいにして自分の対応を反省してくれなかったりする。
自分の基準が他の皆よりキツく、皆の基準がゆるすぎるように感じてくる。
ゆるい感じの考え方が多数派の中で、自分だけが違う意見を持っている。
そのギャップの中で、少数派の自分の考え方に自身がなくなってきてしまうのだ。
今まで学んできた通りに考えているはずなのに「自分がキツすぎるのだろうか?間違っているのだろうか?」という気持ちになるだろう。
しかし、この現象は当たり前のことであり、君がおかしいわけではない。
立場がかわるだけで物の見え方が全くかわってくるものなのである。
管理薬剤師としての責任感がそうさせているのだ。君の考えの方が正しい。
君は、ここで自覚しておく必要がある。
「自分と他のやつらは違うのだ。」
同じではなく「違う」ということを自覚することが大切である。
- 立場が違う
- やるべきことが違う
したがって考え方が違う。当然のことである。自信をもつ。
他の仲間との違いを理解し、受け入れることが管理者としての第一歩となるであろう。
③ 周りに流されないこと
管理薬剤師は責任の大きなポジションである。
やるべきことを列挙すると以下のようなものがある。
- 患者に迷惑をかけてはならない
- 調剤過誤をおこしてはならない
- 法律や社会のルールを守らなければならない
- 健康被害を出してはならない
- 最適な薬物治療を提供しなければならない
ただ、これらが当たり前のことのはずなのに、やってみると思っていたより大変だと感じることだろう。
何しろ、自分自身が遵守するだけではなく、仲間たち全員に守らせなければならないのだ。難易度はこれまでの10倍以上だと感じることだろう。
協調性を持ち、仲間と仲良くなることはもちろん大切なことである。しかし、仲間の低い基準に同調しているだけでは、これらを遵守させることはできない。
管理薬剤師として、守らせるために言うべきことははっきりと言わなければならない。
はじめは、皆はなぜ君だけが厳しいことを言うのかわかってくれないかもしれない。
そのため、あらかじめ立場が違うこと、考え方が違うことを言葉で伝えておくと良いだろう。
「僕は管理者だから皆とは違うことを考えていますよ。皆が考えていることとはちょっと違うことを言うかもしれないけど、うそだと思わずに、一度信じてやってみてください。」
と自信をもってはっきりと言ってみること、これはとても重要なことである。
あらかじめ自分の立場を言葉で表明し、皆が自分よりゆるくても流されないようにしよう。
④ 店舗の中で一番苦労し努力する人にならなければならない
薬局薬剤師は、たくさんの知識を持つ必要があるし、体力も大事である。
これは管理薬剤師だけでなく、すべての薬剤師に必要なことである。
しかし、まずは管理薬剤師として自分自身が実践し続けていないと、周りの仲間たちはついてきてくれない。
偉そうに指示出しをしているだけでは駄目で、仲間の誰よりも一生懸命頑張っていなければならない。
もちろん、最初から人のお手本になることなんて不可能だ。自分自身の欠点だって山ほど目につくだろう。
でも、安心してほしい。完璧超人になろうと言うわけではない。
ここで重要なのは「ただただ、真剣ににやり続ける姿を見せてゆくこと」である。
例えばこのようなことが挙げられる。
- 店舗の中で一番たくさん投薬する
- 難しい患者様やクレーマーを率先して担当する
- 掃除片付けを率先してやる
- 休みのチャンスを譲ってあげる
やっている姿を見せていけば、言っていることにも説得力が現れてくるのだ。
周りの仲間たちがやっていないからと言って、自分がやらなくていいわけではない。
自分と他の仲間たちは、役割や責任の大きさからして、もともと違うのだ。
⑤ 努力してますアピールは重要
仲間たちについてきてもらうためには、自分が一番一生懸命やり続けていなければならない。
しかし、ただ単にやっているだけでは効果が薄いのだ。
やったことはしっかり声に出してアピールする必要がある。
なぜなら、仲間たちは意外と君の努力を見てくれていないのだ。
彼ら彼女らは、主に自分たち自身のことを考えている。
だからこそ「昨日はみんなの残業を少しでも減らせるよう、いつもよりたくさん予製を作っておきましたよ」とか「仕事を少しでも効率化できるよう、他の店のやり方を知るために見学に行ってきたよ」などと言葉でアピールする必要があるのだ。
基本的に、管理者を褒めてくれる人は誰もいない。
自分からアピールして、周りに無理やり褒めてもらう必要がある。
でないと自分自身のモチベーションも続かなくなるし、周りの仲間にも刺激がなくなってしまう。
アピールし続けていると、自然と張り合ってくる仲間が出てきて、一緒に頑張ってくれるようになる。同じ空間にいる影響力をうまく利用しよう。
それが薬局全体にとっていい効果となる。
実際は小さなことしかやっていなくても、少し大げさに言うようにするのがコツである。
⑥方針・基準・価値観などは自信をもって言葉ではっきり言い放つ
自分が頭の中で考えている薬局の方針・基準・価値観などは、自信をもってはっきり言葉で言い放つ必要がある。
周りの仲間たちは、意外と何が正しいのかがわかっていないことが多い。
君にとって当たり前のことであっても、言わなければ伝わらないし、言わないでいると勝手に変な判断をされてしまうことがある。
周りの仲間たちは意外と流されやすいので、言ったもん勝ちなのである。
逆に仲間の中に、変な風に発言力が強く、全体を悪い方向にもっていってしまうような人がいる場合は、その仲間よりも多くの影響力を持たなければならない。
だからこそ、一番初めに言い出す側に回り、言葉を発し続ける必要がある。
また、メモや連絡ノートに書いておくだけでは足りない。
声に出して仲間たちに伝え続ける必要がある。
そして重要なのは、マニュアルや法律、参考書などを根拠にした、正しいことを発することである。
管理者として指導する立場である以上、たとえ相手が年上だとしても教育責任がある。
自分の基準で勝手に決めてしまうのは好ましくない。
仲間たちが他の店舗に応援や異動したときに、その店の基準についていけなくなってしまうからである。
まだ自分自身でもできていないこと、つまりハッタリでも構わないので、正しいことをはっきりと言い切ることが大切である。
言い続けていれば、だんだんと皆が自分色に染まってきてくれるようになるのだ。
薬剤師として社会人として、仲間たちを正しい色に染めてやるのが管理薬剤師の仕事であり、責任である。
⑦ 指示は明確にせよ
仲間が自分のイメージしている通りに動いてくれない場合、それは君の伝え方がうまくないからである可能性が高い。
なるべくわかりやすい簡単な言葉で、スパッとはっきり言うようにしたほうが相手は動いてくれやすい。
自分自身に迷いがあったり、ぶつぶつ文句を言っているような感じだと相手は動いてくれないし、逆に不快感を与えてしまい、ついてきてくれなくなってしまう可能性がある。
自信がなくてもハッタリでも構わないので、迷いなく発するように意識するようにしたほうが良い。
時には強い言葉で指示を出さなければいけない時があるが、その場合は笑顔で言い放ってみよう。
強い言葉を怖い顔で言ってしまうと、相手がビビッてフリーズしてしまったり、逆ギレされたりしてしまうことがある。
同じ強い言葉でも笑顔ではっきり言うように心がけると、相手は言うことを聞いてくれやすくなるのだ。
言葉遣いも重要で「〇〇するものだ。」「 〇〇だと書いてありますよね。」という言い方をしてもついてきてくれない。
そのような言い方は「マニュアルや法律の通りにやって責任は自分自身で取れ!」と言っているように聞こえるからである。
そうではなく「〇〇してほしい。」「 〇〇してください。」という言い方をした方がよいのだ。
「きちんとやってくれれば責任は僕が取ってあげる。」というふうにとらえてもらったほうが動いてくれることを発見した。
あるいは「〇〇したほうがいいですよ。」という助言っぽい言い方をするもの効果的である。
自信をもってはっきり言うようにすると、相手はつい反射的に「わかりました。」「ありがとう。」と言ってくるのだ。
⑧ 頼もしさを演出せよ
人は仕事がきついときは不満や愚痴が出やすくなる。
そのことに対して君自身が不満や人の悪口を言うことはNGである。なぜなら君自身の評判を下げることにつながるだけだからだ。
むしろ、こういう時だけは主語を僕・私から「俺」にかえてハッタリをかますのもおすすめの方法だ。
「俺が全員分引き受けてやるからお前らは床でだらだらしてな!」くらいのセリフを言ったほうが良い。
女子の場合は主語を「アタイ」にしよう。嘘だとわかっていても頼もしさを演出できて、みんなももうひと頑張りしてくれるようになる。
そのあとで一言、「僕も一生懸命頑張るから皆にも頑張ってほしいんだ。お願いします。」と言ってみよう。
要は自分のセリフで仲間を奮い立たせるのだ。
しんどい時はこれがベストである。
⑨ 責任を取り続けることが信頼につながることを理解せよ
最後に一番重要なことを伝える。
「責任」と「信頼」の間には大きな関係がある。
責任をとればとるほど、自分の信頼が増してゆくということをご存知だろうか。
君のやるべきことは、自分自身の責任をしっかり取るのはもちろんのこと、仲間や他人の責任もまとめて取るように意識することである。そうすることで君の信頼がどんどん増してゆくからだ。基本的に、取る責任の重さや回数が大きければ大きいほど、たくさんの信頼が君の中に蓄積すると考えよ。
責任を取るとは以下の行動を取ることである。
- 謝る
- リカバーする
- その後のフォローをする
責任を取ることによって、一時的に怒られたり誤解されたりすることはあるだろう。
しかし、長期的にみると君をフォローしてくれる人の数が増え、君自身が得をする。
周りから認めてもらうまでには、おそらく数か月では足りないろう。
1年以上、もしくは数年はかかるかもしれない。
しかし、信頼を蓄え続ければ、自分のフォロワーがだんだんと増えてゆく。
そのうち味方ばかりの最強の状態を作り出すことができるようになる。
それまで辛抱せよ。粘り続けるのだ。
管理薬剤師として最も重要なのは、信頼を得ることである。
そのために我慢して責任を取り続けよ。
そうすれば、いずれ多くの仲間や患者も、君の味方になってくれるようになる。
たいきちも何年も続けているうちに、自分のこれまでを見ていてくれた人たちが、以前よりも自分の言葉を信じてくれるようになったり、助けが必要な時にフォローしてくれるようになった。
おわりに
以上で解説は終了である。この記事を読んでくれた君には、たいきちよりもスムーズに管理薬剤師としてのスタートをきれるようになってほしい。ぜひ参考にしてみてほしい。
君にもこれからいろいろなことがあるだろうが、頑張れ。
この続きはKindle本で!
たいきちは本を書いてAmazon kindleで出版してみました。
管理薬剤師のマネジメント術が書いてあります。ぜひご一読を!
実際に読んでみて薬局マネジメントの役に立ったおすすめの本3選
たいきちが管理薬剤師になったとき、自分に自身がなくて不安だった。そのときに思いついたのが本を読んでみることだった。たくさんの本を読んでみたが、その中で管理薬剤師としてマネジメントに役立てることができた3冊を紹介する。
↓ 薬局マネジメントについてわかりやすく解説している本で読みやすい。
↓ たいきちが一番おすすめするのが「影響力の武器[第三版]」である。管理薬剤師のマネジメントについての専門書ではないが、人の習性・人を動かす極意を身につけるためにとても役立つ知識を得ることができるはずだ。管理薬剤師にとって必読の一冊である。
↓ 自分自身が強くなる本である。管理薬剤師という一般の薬剤師とは違う立場でものを見たり、発言しなくてはいけないときに、勇気を与えてくれる一冊だ。
こちらの本から学ぶことが多く、現在のたいきちの形成に大きく寄与してくれた一冊である。
管理薬剤師としてマネジメントに不安を持っている人必読である。