こんにちは。薬剤師たいきちです。
この記事は論文やガイドラインをしっかり調べて書いています。
ぜひ参考にしてください。
この記事の概要
- 体重や体脂肪率、筋肉量を測るしくみ
- 実は、高機能体重計にも、知らなければならない問題点が・・・
- 生体電気インピーダンス法による体脂肪率はどこまで正確なのか?
- 結局、どの体重計をつかったらいいの?
みなさん、体重計はお持ちでしょうか?
古くから、健康のバロメーターとして活躍してきたのが、体重計といえるでしょう。
体重は、一番シンプルですし、体重計に乗るだけでわかります。時間もかかりませんし、シンプルな分、納得もしやすい。
体重が増えることは、「見た目」も反映しますので、気にする人も非常に多い指標だと思います。
実際、2017年の調査によると、約92%の人が、体重計を所持しています。
毎日使用する人は約61%であり、80%は、習慣的に体重を計測しています。
日本人の健康意識の高さがうかがえる数字ですね。
同調査で、購入時の選択基準として、「機能」を選択される方が70.9%ということで、それを反映して最近の体重計は体重を測るだけではありません。
アプリと連動して自動記録するもの、体重だけでなく、体脂肪率や筋肉量・骨量を測るもの、筋肉量だけでなく筋肉の質も考慮し、基礎代謝量や体内年齢が測定できるもの、などなど。非常に多くの機能をそなえた体重計が増えてきています。
しかし、こうした数字は結構状態によって幅があったりして、どこまで信頼がおけるのだろうと思ったことはありませんか?
本当に体重と同様に、体脂肪率や体内年齢をうのみにして、健康のバロメーターとして考えてもよいのでしょうか。
今回は、高機能体重計の仕組みから、それぞれのバロメーターがどこまで信頼できるかを実際の論文を踏まえて徹底解説していきます。
もくじ
- 体脂肪や体内年齢など、各種バロメーターの測定方法
- 生体電気インピーダンス法の問題点
- 生体電気インピーダンス法は、健康のバロメーターとしてどこまで信頼できるのか
- 高機能体脂肪計の選び方、おすすめアイテム
体脂肪や体内年齢など、各種バロメーターの測定方法
ほとんどの体重計や体組成計とよばれているものは、生体電気インピーダンス(BIA=Bioelectrical Impedance Analysis)法を用いています。
生体電気インピーダンス法とは、からだに微弱な電流を流し、その際の電気の流れやすさ(電気抵抗値)を計測することで体組成を推定する方法です。
脂肪は、電気をほとんど通しません。
脂肪以外の筋肉、骨などの除脂肪成分は電解質を多く含むため、電気を流しやすくなります。
その差を利用して、電気を流して、電気抵抗値を算出します。
あとは、あらかじめ入力された身長から筋肉量や体脂肪量を算出し、体脂肪率として計算しているのです。
非常に理論としては分かりやすいのですが、実際にはそれぞれの会社の顧客の統計データをもとに、なるべく実際の詳しい検査をもとにした体脂肪量や筋肉量と一致させるように、調整されて、算出されています。
電気を流すだけなので、身体への負担はほとんどないですし、非常に簡便な方法として、ほとんどの体組成計や体重計には、生体電気インピーダンス法が採用されているのです。
生体電気インピーダンス法の問題点
生体電気インピーダンス法は、身体の内部を電気を通すだけで把握できる画期的な方法ですが、以下の問題点が浮かび上がってきます。
① 起床直後や就寝直前などの身体状態による変化が大きく、同じ日でも測定した時間で大きなばらつきがある。
人間の身体は水分量が一定ではありません。朝起きたら、水分を取ります。寝ている間の水分蒸散量もことなります。汗をかいた時や、お風呂から上がったばかりの時など、表面の水分が付着しただけでも、結果が大きく異なってきます。みなさんも経験したことがあるでしょう。
そこで、高機能体重計を測るタイミングを一致させないといけません。
具体的には、「食前であり、入浴前である時」が一番変化量が少ないとされています。
なるべく同じ時間、同じ状態で計測することを継続しないといけないのです。
② 生体電気インピーダンスから体脂肪率を推定する統計データや算出方法が、測定機器製造各社によって異なる。
先ほど少し触れた通り、実は、電気抵抗値から体脂肪率、筋肉量を測定する統計データや算出方法は、学会などで統一されていないのが現状です。したがって、「○○製の体重計で測定した体脂肪率が××%だった」という情報は、他の企業で使用されている「体脂肪率」との比較として使えないということです。
人間の身体は大体一緒で、統計サンプルが異なったとしても、大体一致する可能性のほうが高いでしょうが、厳密には比較として使ってはいけません。
さらに踏み込むと、例えば「体脂肪率○○%以下の人の寿命が長かった」という論文が出たとしても、「どの製品での体脂肪率なのか」も含めて考えないといけないということになります。
各企業や学会で統一した基準を設けなければならない、今後の課題になりますね。
③ 生体電気インピーダンス法で正確に測定できない、もしくは使ってよいか相談すべき人がいる
最後に正確に値が原理的に出ない人、使ってよいか医療機関に相談すべき人がいます。
例えば、心臓ペースメーカーを入れている方は使ってはいけません。おなかの中に胸水や腹水など、水分を抱えている方は正確にはでないでしょう。妊娠中は、生体インピーダンス法を用いた論文もあるので、安全には使えるでしょうが、(日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 30, No. 1, 78-88, 2016)体脂肪率は正確には測れないでしょう。少しでも心配な方は、医療機関にご相談いただく方がよいでしょう。
生体電気インピーダンス法は、健康のバロメーターとしてどこまで信頼できるのか
では、医療界では、こうした生体電気インピーダンスを用いた体脂肪率や筋肉量はどこまで正確なのでしょうか。
まず、前提として知っておきたいことがあります。
それは、「生体インピーダンス法よりも体脂肪や筋肉をより正確に測定する方法がある」ということ。
それは、DXA法(Dual energy X-ray Absorptiometry法)です。骨密度を測定する時芋使われる方法です。2種類のエネルギーの放射線を使い、骨組織、脂肪などの組織を区別して、それぞれの量を測定します。
しかし、欠点としては、このDXA法は、機械として非常に重く、大掛かりな装置が必要というだけでなく、放射線を扱うために、広く行うことができません。
この方法に代わる方法が生体インピーダンス法というわけです。
そして、今や数多くの論文が生体インピーダンス法による体脂肪率や筋肉量をもとに評価しています。
中には、生体インピーダンス法やDXA法の両方をもとに評価して、その一致率をみている論文もありますが、一致率として高い一致率を示していました。
(滝川 厚, 加藤 洋司, 中村 悟ら。生体インピーダンス法と二重エネルギー X 線吸収法による 体組成測定値の比較。人間と科学 県立広島大学保健福祉学部誌 11 (1) 169 - 178 2011)
このように、医学的にみても、生体インピーダンス法は健康のバロメーターとして広く流通されてきている評価方法であり、信頼してもよい方法でしょう。
もちろん、一定の時間にしたり、使用する際の条件をなるべく同じにしたり、機器が違うタイプの体脂肪率が必ずしも同じではないなどの問題点を十分理解した上での使用になります。
高機能体重計のおすすめアイテム
さて、このようにさまざまな健康のバロメーターとして活用できる高機能体重計ですが、最近非常に多くの種類が販売されていて、どれがよいのか非常に難しいですよね。
実際にさまざまな会社、さまざまなタイプの高機能体重計を試して、市場価格と機能性、正確性などを中心に、徹底的に評価しました!
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